本研究は、生物災害対応において病院機能別(感染症指定医療機関、災害拠点病院、救急告示病院)に看護師に求められる役割・知識・技術と現在の看護師の準備性を明らかにし、生物災害に関する看護師継続教育の方向性と必要とされる内容を抽出した上で、病院機能特性に応じた看護師への生物災害教育プログラムを開発することを目的とする。平成22年度研究では、全国から指定別に層化無作為抽出した医療施設(感染症指定医療機関236施設、災害拠点病院202施設、救急告示病院195施設;合計633施設)の看護師(各施設2名)を対象に、「平成21年の国内での新型インフルエンザA/H1N1流行時に、新型インフルエンザ(疑いを含む)患者に対応した際の看護ケアの内容と自己評価」「今後の生物災害に対して看護ケアに必要であると考える知識・技術」、「生物災害を含む各種災害に対する想定発生確率認識・不安の有無」等を調査した。調査期間は、平成23年2月9~28日である。 146施設(23.1%)より207名(16.4%)の回答を得た。病院機能別回答数は、感染症指定医療機関62(26.3%)、災害拠点病院53(26.2%)、救急告示病院31(15.9%)であった。回答者の看護師経験年数は4-40年(平均22.5年)であった。回答者は新型インフルエンザA/H1N1対応として「疑い患者/新型インフルエンザ患者の診察補助(68.0%)」「疑い患者/新型インフルエンザ患者の看護(56.5%)」「疑い患者/新型インフルエンザ患者の家族対応(56.0%)」を行っていた。これらの活動に必要であった知識は「新型インフルエンザウイルスについて(72.0%)」「感染経路について(47.5%)」「「感染経路別予防策について(45.0%)」、技術は「個人防護具の正しい着脱(73.5%)」「患者配置(67.5%)」「手洗い・手指衛生(61.0%)」が挙げられた。
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