ホルモン療法を受ける前立腺がん患者に、体組成、骨密度、QOL等の調査を行った結果、以下のような結果が得られた。 1)対象者のホルモン治療内容は、リュープリン+カソデックスを38.7%、リュープリンのみ11.2%、ゾラデックス+カソデックスが7.1%であった(過去に前立腺全摘術を受けた者、放射線治療を受けた者を含んでいる)。対象者の約半数が2年以上ホルモン療法を受けていた。 1)体脂肪率は、16~45.1%(平均29.7%)と、肥満と判断される30%以上が約半数であり、特に胴体の体脂肪率が著明であり、腹部肥満の傾向がみられた。腹囲は68.1~113.7cm(平均91.1cm)であり、対象者の約3/4がメタボリックシンドロームの基準値85cm以上であった。 2)筋肉量は、両上肢は標準レベルであったが、胴体と両下肢においては、若干低いレベルであった。ウォーキングなどの運動を行っていない者、仕事をしていない者に低い傾向が見られた。 3)骨密度は、スティフネス値43~133であり、骨粗鬆症の疑いのあるスティフネス70未満の者が約半数いた。日頃から運動をしている者、若い時に運動をしていた者に骨密度が高い傾向がみられた。 4)倦怠感は、CFSの総合倦怠感の平均値は18.98(18点をカットオフポイントとした場合、日常生活への障害が著明となる)であり、比較的低い状態であった。 5)QOLに関して、SF-8は全体的に低い値を示していた。特にSF(社会的活動)とRE(日常役割機能)においては、平均値が30点以下と低値であった。前立腺癌特異尺度(EPIC)では、「性」に関する下位尺度において、低値であった。
|