本年度は、エンド・オブ・ライフ期にある慢性呼吸器疾患患者の徐々に悪化するプロセスの中で何を体験し、どのようなニーズを持っているのか、またそれに対して看護師はどのようなケアを行っているのか、および、看護師はどのような患者-看護師関係を結んでいるのかについて明らかにすることを目的とし、研究参加に同意した看護師にインタビューを実施し、以下の結果を得た。 看護師が認識している終末期・ターミナル期にある慢性呼吸器疾患患者は、呼吸苦というそれに集中してしまうほどの身体的苦痛の他、患者は自らの病気の進行は受け入れづらいこと、治療のしようのない病気になったという心理的な苦痛をもち、そのような状況であっても自分自身の生き方や病気や治療への考え方を持ちそれらが保全されることを望んでいた。 そのような中で看護師は、日常の生活の中で患者の呼吸循環能力をアセスメントしその患者の行いたい生活に近づけ、呼吸苦や呼吸状態を少しでも良くする身体的ケア技術を用いて患者の信頼を勝ち取りながら、その方の生き方・考え方、どう決めてきたのかを把握し、それらを呼吸状態が悪くなった時に患者が行った意思決定と照合し、患者の持っている価値が最後まで反映されるようにケア・調整していた。 徐々に進行していく呼吸状態の悪化の中で家族の死が間近であることの不安や焦りに対しては、家族の良くなるかもしれないという希望自体は大事にしながら現実は伝え、家族と共に患者の生き方や考え方を回想し語り合って患者の意思と家族の希望をすり合わせていた。 来年度は訪問看護師、在宅酸素療法提供会社勤務の看護師に同様にインタビューし、結果を統合させていく予定である。
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