本研究は、医療機関の中でもDV被害当事者(以下、DV被害者とする)が来院することが多いといわれる科の1つである救急外来におけるDV被害者に対する看護実践モデルを考案することを目的とする。平成23年度は、第16回日本看護研究学会東海地方会学術集会において研究成果の発表をし、インタビュー結果の分析及びまとめを行った。 インタビュー結果から、支援者はDV被害者の心理的葛藤や社会的背景を考慮しながら、共感する態度で接し、DV被害者が今後の生き方を自分自身で決められるよう自己決定を促す関わりを行っていた。その中で、DV被害者に対応する支援者にも心理的負担があることが語られ、支援者同士で語り合う場を持ち、支援者同士の情報共有やサポートの必要性があることが示唆された。DV被害者への対応は加害者からの接触等の不測の事態に備え、複数で関わりDV被害者の安全に配慮されていた。 また、インタビュー結果の分析と並行して以前行ったアンケート結果から、DV被害者に遭遇した看護師が困難と感じていた事柄についてまとめを行った。看護師が困難と感じていた事柄は、【DV被害者への対応】に加え、【DV被害者に付き添ってきた加害者への対応】、【救急外来での対応の限界】等であった。 救急外来では、DV被害者に加害者が付き添って来ることも多い。そのため、DV被害者から話を聞いたり、情報提供を行うタイミングや場所はプライバシーが守られる、少なくとも加害者からは離れた環境であることを考慮する必要がある。また、対応する看護師はDV被害者が様々な心理的葛藤や社会的背景から、すぐに加害者から離れる選択が選べないことが多いことを理解し関わることが望まれる。
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