【目的】本研究の目的は、手術後の疼痛緩和の方法と皮膚知覚低下との関連を明らかにすることである。 【方法】対象は、上部・下部消化管および乳腺の手術を実施し、術後に疼痛緩和を行う周手術期患者とした。除外基準は、ペースメーカー装着患者、潰瘍性大腸炎患者、認知機能障害者とした。方法は、術前と術後3日間の両下肢第1足趾裏側の皮膚知覚をpain visionおよびSemmes-Weinstein monofilaments testにより評価した。その他として皮膚温や足関節のMMT等を測定した。属性については診療録よりデータ収集した。 【結果】平成22年1月~3月までの対象患者は59名(うち4名除外基準適合者、5名調査拒否、3名主治医より中止指示)で、調査が実施できたのは47名であった。データ入力が完了した35名分について報告する。平均年齢は63.5±11.2歳、性別(男性)54.3%、上部消化管手術17名(48.6%)、下部消化管手術8名(22.9%)、乳腺手術10名(28.6%)であった。術後の疼痛緩和方法は、Patient Controlled Analgesia(PCA:患者自己管理鎮痛法)3名(8.6%)、硬膜外麻酔2名(5.7%)、PCAと硬膜外麻酔の併用20名(57.1%)、その他10名(28.6%)であった。pain visionで評価された下肢知覚低下者は、1日目(n=28)右足14(50.0%)、左足9名(32.1%)、2日目(n=26)右足13名(50.0%)、左足10名(38.5%)、3日目(n=28)右足9名(32.1%)、左足16名(57.1%)であった。monofilaments testで評価された下肢知覚低下者は、1日目(n=29)右足5名(17.2%)、左足5名(17.2%)、2日目(n=28)右足5名(17.9%)、左足4名(14.3%)、3日目(n=28)右足6名(21.4%)、左足3名(10.7%)であった。疼痛緩和の方法別による皮膚知覚低下との関連についてはPCAの症例数が少なかったため検討できなかった。
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