本研究は、筆者の研究によるリンパ浮腫患者の指尖血流量の左右差と上肢細胞内外水分比の検討から導き出した「リンパ浮腫発症予測指標値」を臨床に援用し、リンパ浮腫患者への「複合的理学療法」の効果を検証することである。方法として用いる血流量測定法・インピーダンス法は、操作が簡便で看護師にも使用が可能である上、患者への侵襲や負担が少ないことが特徴である。 研究の準備については、「リンパ浮腫ケア」に関する研究のために足掛け8年に亘りフィールドを提供していただいているリムズ徳島クリニックおよび広島大学病院が引き続き本研究遂行に協力を惜しまないことを確約してくれていること、滋賀医科大学医学部附属病院においては筆者と看護部のユニフィケーションによるリンパ浮腫外来で毎週火・木曜日にリンパ浮腫ケアが実施されていることから研究環境の準備は万端の状態で着手した。 複合的理学療法を用いた看護介入を対象者に実践し、その効果検証を「リンパ浮腫発症予測指標値」を用いて行った。その結果、リンパ浮腫患者の指尖血流量の左右差は治療経過とともに減少した。また、上肢細胞内外水分比は治療経過とともに増加する結果となった。リンパ浮腫を発症すると、指尖血流量の左右差は増加し、上肢細胞内外水分比は減少する。このことから、リンパ浮腫患者への「複合的理学療法」は治療効果が高いことが示唆された。
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