子宮がんや卵巣がんに罹患した患者は、手術後に補助療法を行う場合があり、がんに罹患したことによる精神的苦痛とともに身体症状や治療の副作用に対処しながら、長期間にわたり治療を継続しなければならない。 看護師は、患者の治療が円滑に行われるように支援し、患者が自らの生活を整えられるように援助する役割がある。現在、リラクセーション法などの代替・補完療法が注目を集めており、患者が抱える多くのストレスや治療の副作用症状を軽減させる方法として、呼吸法を用いたリラクセーション法が取り入れられるのではないかと考えた。そこで、本研究は、子宮がんもしくは卵巣がんに罹患し、手術後に補助療法としてはじめて化学療法を受ける患者に対して、呼吸法を用いたリラクセーションプログラムを行うことにより、治療の副作用や不安感などがどの程度軽減するかを検討した。 <平成21年度の研究成果> 質問紙調査から、対象者は化学療法前に緊張や不安が強く、化学療法実施後にはそれらが軽減する傾向がみられた。これは、はじめての化学療法であり、「副作用について知っているが、実際には何がおこるかわからないので不安。」という治療前の対象者の発言と一致していた。 本研究で化学療法前から呼吸法を用いたリラクセーションプログラムを実施することにより、ほとんどの対象者は心地よさやリラックス感を体験し、本プログラムの実施後には緊張や不安が軽減し、活気の増加がみられた。これは、リラクセーションプログラムの終了後、「とても気持ちがよかった。しんどいことを忘れられる。」などの発言と一致していた。また、一部の対象者では呼吸法の実施により腹鳴の亢進効果がみられた。 平成22年度は、対象者を増やして検討を継続していく。
|