平成22年度は、前年度に引き続き、深呼吸法を用いたリラクセーション法の効果について検討した。子宮がんや卵巣がんなどの婦人科系のがんで、手術後初めて化学療法を受ける患者を対象に、深呼吸法を基盤とした看護プログラムを行った。対象28名について、無作為に看護プログラムを行う介入群14名とプログラムを行わず通常の看護ケアを受けるコントロール群14名の2群に振り分けた。看護プログラムは、化学療法前日に深呼吸法の方法や注意点などを指導し、化学療法前日、化学療法実施2日目、4日目、6日目に研究者と一緒に深呼吸法を実施する方法で行った。一化学療法実施前日、化学療法実施2日目、4日目、6日目、退院前に、POMS短縮版、倦怠感や吐気の目寛症状の程度(VAS)、倦怠感を測定するCancer Fatgue Scaleなどを用いて、介入群とコントロール群の測定値を比較した。本研究は、研究実施施設の倫理審査委員会の承認を得て行った。その結果、深呼吸法を基盤とした看護プログラムを実施することにより、不安感の軽減、活気の増加、倦怠感の軽減などの効果が示唆された。深呼吸法を基盤とした看護プログラムは、手術後に初めて化学療法を受ける婦人科系がん患者にとって、道具やトレーニングを必要とせず取り入れられるものであり、対象からも深呼吸法を行うことによる負担感などは聞かれなかった。今後は、婦人科系がん患者以外のがん患者を対象に、本看護プログラムの効果を検討していく必要がある。
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