研究概要 |
本年度は,変形性膝関節症患者のセルフケア能力を測定する尺度を開発し,セルフケア能力の実態およびQOLとの関連を明らかにした.調査対象は,症状がある50歳以上の一次性膝OA患者とした.調査の結果,回収数は,505(回収率77.7%)であった.有効回答数386名(59.4%)を分析対象とした.対象者の年齢は,72.7±9.5歳(50~95歳),男性86名(22.3%),女性300名(77.7%)であった.罹患期間は,11.0±10.9年(0~70年),BMIは,24.4±3.4(15~37)であった. 1.セルフケア能力尺度の信頼性・妥当性 探索的因子分析の結果,19項目の3因子「自己の状況に関する正しい認識」「療養行動の獲得と継続」「関節に負担をかけない生活の獲得」で構成されるセルフケア能力尺度が開発された.α係数は基準値以上の値(全体0.806,第1因子0.793,第2因子0.761,第3因子0.671)が得られ,尺度の内的整合性は支持された.外的基準であるSCAQとの有意な中程度の相関(r=0.719,p<0.001)が得られたことから基準関連妥当性が確認された. 2.セルフケア能力尺度の有用性 19項目の質問で構成され高齢者の多い膝OA患者にとって簡便で利用しやすい.看護職者における膝OA患者のセルフケア能力の理解,セルフマネジメントプログラムの評価指標として活用する. 3.課題 今後,セルフケア能力の関連要因およびwell-beingとの関連を明らかにしていく必要し,セルフケア能九well-beingを高めるプログラムを作成する.
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