平成21年度は、申請時に提出した研究計画について再検討を行い、外来治療を受けるがん患者の家族の悩みや負担だけでなく、悩みや負担を抱える家族のQOL(生活の質)がどのような状況にあるのかについても明らかにすることを目的に加えることとした。QOLについては、信頼性と妥当性が検証された既存の尺度を使用し、客観的に評価できることを目指すと共に、脳血管疾患患者の家族や高齢者のQOLと比較することもできるよう、幅広く使用されている尺度を選択することとした。その結果、「WHO QOL 26」がその目的を達成するためには妥当であると考えられたため、転載使用許可を得た後、「WHO QOL 26」を質問項目に加えた構成的質問紙を作成した。 その後、広島県内のがん診療連携拠点病院10か所に研究の協力を依頼し、広島大学病院、県立広島病院、広島赤十字・原爆病院、広島総合病院、呉医療センター、東広島医療センター、尾道総合病院、福山市民病院、市立三次中央病院の9か所から研究協力の同意が得られた。平成22年3月より、外来治療を受けるがん患者を支える家族が、どのような悩みや負担を抱え、その悩みや負担に対して、どのように対処しているか、また悩みや負担を軽減させるために必要だと思うことについて具体的に明らかにすること、さらに、がん患者を支える家族のQOLについても明らかにすることを目的に調査を開始した。対象者は、調査協力施設の外来で治療を受けているがん患者の家族(患者が主たる支援者と認知している者)とし、患者と家族に研究の目的と趣旨、返信をもって同意とみなすことを説明し、了解の得られた患者と家族に、返信用封筒付きの構成的質問紙を配布して横断調査を実施し、平成22年11月末に調査を終了した。
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