本年度は、本研究の最終年度であり、これまでに得られた研究結果を見直し、結果の信頼性を確認することおよび研究成果の公表、論文投稿(英文誌)を主な目的とした。まず、探索的データ解析ソフトであるStat Flexを用いてデータを分析した結果、遺族の悲嘆反応に最も影響する要因は、死別に対する認識であり、死を安らかであったと思えるほど、死別に対して後悔がないほど、死を現実の出来事として受容できているほど悲嘆反応は緩和されることが明らかになった。このことから本研究の研究結果について信頼性を確認することができた。その後、研究結果を、関連学会での成果公表および、英文誌(Nursing and Health Science)に投稿を行った。英文誌には12月に受理され、平成24年度6月号に掲載される予定である。次に、クリティカルケアにおける終末期患者の家族ケアに関する研究会に参加し、家族ケアの動向について学ぶとともに、参加者にインタビューを行い、終末期ケアの現状、課題等の把握を行った。結果、クリティカルケアにおいては、終末期の判断が難しく、予後が不確かな中で、救命のための医療と終末期ケアを同時に行わなければならない現状に医療者自身もジレンマを感じていること、その中で十分な家族ケアが行えていないという認識をもっていることがわかった。また、家族ケアに関する課題では、死別への受容が困難な家族への介入、、家族ニーズが不明確であること、意思決定支援などがあがった。今後はこれらの結果をもとに、終末期ケアの質を評価するための指標を確立していく必要があるとわかった。
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