本年度は、ICUでの人工呼吸器装着患者のコミュニケーションの困難さを明らかにすることを目的に文献検討および先行研究で得たデータを分析した。文献検討においても、人工呼吸器装着患者のコミュニケーションの困難さは患者にとって大きな問題であることが明らかとなっている。また、先行研究で得たデータを分析した結果、ICUで人工呼吸器を装着した患者は、【代替手段を上手く使えない】【伝えたいことがありのままに伝わらない】【伝わらず苛立つ】【伝わったかどうか分らない】【ニーズが満たされない】というコミュニケーションの困難さを体験していたことが明らかとなった。しかし、このようなコミュニケーションの困難さに対して、【患者がもつエネルギーで精一杯伝える】【看護師が理解しやすい様に配慮をする】【伝えることをあきらめる】という患者の対処も明らかとなった。人工呼吸器装着患者は、文字盤や筆談といった代替手段を使い伝えたいことをありのまま伝えることが難しく、そのため、ニーズを満たす援助を受けにくいことが示唆された。 しかし、先行研究において、ICUで人工呼吸器装を装着していた期間の体験を回顧できたのは研究対象患者の約半数の3名であった。そのため、十分なデータ数であるとは言い難く、さらにICUで人工呼吸器を装着した患者を対象にコミュニケーションの困難さを明らかにすることが必要である。したがって、次年度も引き続き、ICUで人工呼吸器装着患者を対象にコミュニケーションの困難さを明らかにしていく。
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