ICUでの人工呼吸器装着患者のコミュニケーションの困難さを患者の体験から明らかにし、ICUにおける人工呼吸器装着患者と看護師とのコミュニケーションの看護実践向上への示唆を得ることを目的とした。研究対象者は、ICUに入室し人工呼吸器を装着した患者とした。データ収集は、半構造化面接法を用い、人工呼吸器装着期間中の患者のコミュニケーションの困難さ、またコミュニケーションの困難さに対して期待する看護実践についてインタビューを行った。データ分析は、患者の面接データから逐語録を作成し、整理した逐語録から患者のコミュニケーションの困難さ、看護師に期待する実践に関連する意味のあるセンテンスを抜き出しコード化しカテゴリー化した。 研究参加者は8名で全員男性であった。全員が手術を受けICUに入室した患者であった。平均年齢71.3±6.7歳、平均人工呼吸器装着時間は14.4±3.9時間であった。なお、平均インタビュー時間は14.9±9.4分であった。研究参加者8名中2名はICU滞在期間中の記憶は全くなかった。また、2名はICU滞在期間中の記憶はあるが人工呼吸器装着期間中の記憶はなかった。そのため、4名の研究参加者のデータを分析した。患者が体験したコミュニケーションの困難さとして【伝える意欲がわかない】【手を挙げペンを保持し筆談することが難しい】【目が見えにくく文字盤が使いづらい】などが明らかとなった。また、看護師に期待する実践として【メッセージを素早く理解する】【メッセージを理解したことを患者に伝える】【患者が求める情報を提供する】などが明らかとなった。人工呼吸器装着患者は身体状態が重篤であり代替手段を使いメッセージを伝えることが容易ではない。看護師は患者に合った代替手段を選択すること、また患者が伝えたいメッセージを素早く理解するなどして、患者を疲れさせることなくコミュニケーションを行うことが求められる。
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