【目的】がん療養法について意思決定サポートを必要としている患者を対象に、「がん患者の療養上の意思決定を支援する共有型看護相談モデル」を提供し効果検証を行う。 【方法】Pre調査として、がん療養上の意思決定に関する相談に訪れた患者10名を対象に面談を行い(対照群5名、実験群5名)、面談前後に(1)葛藤尺度(DCS)、(2)状態-特性不安検査(STAI)を測定した。患者のデモグラフィックデータや反応、介入内容の詳細はフィールドノートに記載した。 【結果】協力者の概要は、平均年齢62.2±9.61歳、治療開始後月数33.2±3.75ヶ月、面談所要時間数93±56.82分であった。デモグラフィックに関するベースラインデータは2群間で違いはみられなかった。介入前の日本語版DCSの尺度全体では、実験群3.45(SD=1.23)、対照群2.12(SD=0.79)、介入後のDCS尺度全体では実験群2.10(SD=0.95)、対照群1.78(SD=0.64)と面談前後ともに有意差がみとめられた(P<0.01)。実験群の方が葛藤としてはより高値であった。介入前のSTAI尺度全体では、実験群104.6(SD=37.3)、対照群89.2(SD=20.9)、介入後のSTAI尺度では、実験群80.4(SD=31.5)、対照群40.2(SD=10.1)と介入前後ともに2群間の有意差は認められなかった。状態不安、特性不安についても有意差は認められなかった。 【考察】本モデルを用いた面談を行うことにより、がん患者の抱えている葛藤がより改善されるということが明らかとなった。これは、患者の意思決定プロセスを共有するという看護師の関わりが患者の葛藤を低下させることに繋がったといえる。この結果をもとに次年度は100名を対象とした本調査を行う予定である。
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