【目的】がん療養法について意思決定サポートを必要としている患者を対象に、「がん患者の療養上の意思決定を支援する共有型看護相談モデル」を提供し効果検証を行う。 【方法】昨年度のPre調査の結果をもとに介入方法を一部修正し、本調査を行った。がん療養上の意思決定に関する相談に訪れた患者56名を対象に面談を行い(対照群29名、実験群27名)、面談前後に(1)葛藤尺度(DCS)、(2)状態-特性不安検査(STAI)を測定した。患者のデモグラフィックデータや反応、介入内容の詳細はフィールドノートに記載した。 【結果】協力者の概要は、平均年齢、(対照群:57.27±29.37歳、介入群:64.48±9.98歳)、治療期間平均月数(対照群:34.93±47.78ヶ月、介入群:17.74±27.65ヶ月)、1回あたりの面談時間平均(対照群:55.54±22.41分、介入群:70.83±40.36分)であった。対照群と介入群の面談前後差の比較を行ったところ、意思決定に関する葛藤尺度(Decisional Conflict Scale:DCS)では、下位項目すべてにおいて面談後には値が低下していた。しかし、較差について比較してみると、情報は対照群の方が有意に低下しており、価値の明確さは介入群の方が有意に低下していた。状態-特性不安検査(state-trait anxiety inventory:STAI)では、下位項目すべてにおいて面談後には値が低下していたが、較差について有意差はみられなかった。患者に見られた変化を対照群と介入群で比較したところ、精神状態や意思決定にまつわる誤題に対峙するための姿勢は両群に類似したものであったが、意思決定への具体的な取り組みについては介入群のみに見られた変化であった。看護師の変化としては、感情を共有しながら相談内容を焦点化することや患者の価値観を確認し意思決定を共有することに対する重要性の認識が深まり、意思決定支援を意図的に行えるようになるという変化がみられた。以上の結果をもとに、モデルの改編としては、新たに抽出された技術を追加し各技術を用いる様相を修正した。 【考察】モデルの有効性についてある一定の評価ができ新たなモデルの改編へと繋がったと考える。
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