研究概要 |
本研究では、慢性肝疾患からがんを発症し療養生活を行う患者に対し、療養生活に必要な患者教育を提供し、患者が疾病受容から今後の療養生活を構築できる心理的・社会的環境を整備するために、看護師を中心とした肝臓病相談支援室を開設することを目的として、その基礎的研究を行っている。肝臓病相談支援室は看護師中心で行い、各専門職者が協働して「がん予防の推進」と「がん医療の効用とそれを支える社会環境の整備」となる患者教育・支援システムを構築する。平成21年度は、肝臓病相談支援室開設に向けてのシステムと教育プログラム(パンフレット作成・クリティカルパス)を行った。平成22年度はそれをさらに実証化するために,フィールドであるA県B病院の医師1名・看護師(看護師長)2名で構成された肝臓病教育検討会を立ち上げ、プログラムの5つの時期(【肝治療生活が常態化する時期】、【がん告知による混乱の時期】、【常態化する肝がん治療へ期待する時期】、【治療変更による再常態化の時期】、【終末認識をもつ時期】)ごとによる教育媒体を完成させた。本年度は、完成させた教育媒体を基に、肝臓病相談支援室として,2回/週で開室し,医療職者と連携を図りながら,患者と家族に肝臓病教育を行った。その教育の効果を測るために,介入前・後にFACIT-sp (Functional Assessment of Chronic Illness Therapy-Spritual), Health Loucus of Control尺度を用いたアンケート調査とインタビュー調査を行った。本調査は,平成23年9月に終了し、計39人の協力が得られた。次年度、アンケート調査の統計処理やインタビュー結果の質的分析をすすめ、介入の評価を行う予定である。
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