本研究は外来化学療法を受ける乳がん患者の倦怠感に着目し、尿中サイトカインの倦怠感指標としての有用性を主観的な倦怠感の指標を含めて検討することを目的とした。さらに、倦怠感に影響を及ぼす要因についても明らかにし、倦怠感に対する適切な介入時期や方法についても検討を行うことを目的とした。 本研究では、術後化学療法術後化学療法のepirubicin/cyclophosphamide(EC)、chemotherapy.5-fluorouracil/epirubicin/cyclophosphamide(FEC)、taxotere/cyclophosphamide(TC)療法のいずれかを受ける乳がん患者を対象に各化学療法の1クール目について調査をおこなった。その結果、治療前と治療開始後7目から10日目のサイトカインレベルの比較では、EC療法において、治療前後のTNF-αレベルに有意差を認めた。その他の治療については、治療前後のサイトカインレベルに統計的な有意差を認めなかった。また、主観的な倦怠感およびその他の症状について、有害事象共通用語規準v3.0日本語訳JCOG/JSCO版を用いて調査を行ったところ、倦怠感を含めたその他の症状は、いずれの術後化学療法においても被験者の60%から80%においてグレード1以下を示した。また、治療開始当初にグレード2や3を認めた被験者も治療経過とともに改善を示した。倦怠感に影響を及ぼす要因については、治療開始後に、食欲不振、吐き気、睡眠障害、痛み、不安や抑うつ等があり、治療の種類と経過によって違いを認めた。さらに、FEC療法においては、サイトカインと不安や抑うつと有意な相関を認め、倦怠感に影響する症状との関連が示唆された。外来化学療法を受ける乳がん患者の倦怠感に対する援助を行う上で、治療の種類と時期に合わせた支援が必要である。
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