本研究は虚血性心疾患患者の「社会的孤立」の構成要素と関連要因を明らかにした上で、社会的孤立の先行要因(原因)と心理反応(結果)を含めた「虚血性心疾患患者の社会的孤立に関する構造モデル」を作成し、その妥当性を検討することを目的としている。 22年度は、インタビューデータから抽出した「社会的孤立」の構成要素を元に、概念枠組みを修正しながら、具体的な質問項目の作成・精選を行った。 概念枠組みは【社会的孤立】を中心として、影響要因としての【先行要因】、結果として【心理的アウトカム】という大枠で構成された。 【先行要因】としては"年齢""性別""職業""家族構成""治療方法""罹病期間"という「個人特性」および"病気の認知""主観的な体調""生活への影響についての自覚""病気の不確かさ"などの「病の受け止め」であり、【社会的孤立】は"活動の縮小""ネットワークの縮小"という「量的側面」、"対人関係の変化""役割喪失""サポート不足"という「質的側面」、および"不本意""不満""寂しさ"という「感情的側面」の3要素となった。また、【心理的アウトカム】としては"緊張""抑うつ""怒り""活気""疲労""混乱"の全般的な気分状態を評価として用いることにした。 23年度は、以上の変数に「社会的孤立」の基準関連妥当性を測定するための尺度を加えた質問紙を作成し、虚血性心疾患患者約300名を対象として調査を行う予定である。
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