研究概要 |
本研究は虚血性心疾患患者の「社会的孤立」の構成要素と関連要因を明らかにした上で、社会的孤立の先行要因(原因)と心理反応(結果)を含めた「虚血性心疾患患者の社会的孤立に関する構造モデル」を作成し、その妥当性を検討することを目的としている。 23年度は、アイテムプールを整理し、3下位尺度9要素43項目の「病者の社会的孤立感尺度(原案)」を作成した。回答形式は5段階評定を用いて「違う(1点)」「やや違う(2点)」,「どちらともいえない(3点)」「ややそうだ(4点)」「そうだ(5点)」とし、得点が高いほど「社会的孤立」の状況にあることを示す尺度とした。 外来通院中の虚血性心疾患患者を対象とした質問紙調査を実施し(配布数352、回収数300・回収率85.2%)、3分の1以上の項目で無回答のある10ケースを除いた290名のデータを用いて、尺度の信頼性・妥当性の検証を行った。項目分析によって各質問項目の回答分布・総得点への寄与を確認後、探索的因子分析(一般化最小二乗法・プロマックス回転)により、最終的に18項目3因子構造からなる「病者の社会的孤立感尺度」を作成した.各因子のCronbach's α係数は,第1因子(関係変化)0.90、第2因子(活動抑制)0.89、第3因子(陰性感情)0.90、尺度全体では0.94と高い内的整合性が認められ、Spearman-Brownの係数は0.96,Guttman係数は0.95と尺度としての基準を満たしているため,社会的孤立感の測定尺度として活用できると判断した。また、Ando, Osada & Kodama Lone liness Scale(AOK孤独感尺度)との併存的妥当性も確認できた。
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