平成24年度は、各尺度得点(病者の社会的孤立感尺度,病気の不確かさ尺度,POMS)に欠損値がない222名(男性183名,女性39名)を対象とし、社会的孤立の先行要因(原因)と心理反応(結果)を含めた「虚血性心疾患患者の社会的孤立に関する構造モデル」を作成し、その妥当性を検証した。 社会的孤立感は、年齢の高い者、女性、配偶者がいない者、無職の者で高く、PCI・CABG両方の治療経験を持つ者、胸痛発作を頻繁に体験している者ほど高かった。また、病気が重症であると感じる者、現在の体調が悪い者、病気による生活への影響を強く感じている者、病気の不確かさを高く認知している者ほど社会的孤立感が高く、病気の不確かさの下位尺度では[病気の回復]と[生活予測]が社会的孤立に有意な影響を与えていた。 最終的に採択した構造モデルにおいて、先行要因は[胸痛・発作]を起点として[生活への影響](パス係数.48)と[病気の回復](パス係数.38)へ有意なパスが向いており、さらに[生活への影響](パス係数.31)と[病気の回復](パス係数.50)からは社会的孤立感に向けた正のパスが確認できた。また、社会的孤立感からは[不安](パス係数.41)と[混乱](パス係数.19)にパスが向かい、[不安](パス係数.76)と[混乱](パス係数.26)からは[抑うつ]に向けた有意な正のパスが確認できた。なお、最終モデルのχ2検定は(χ2=16.9,p=.077)、適合度指数はCFI=.990、GFI=.979、AGFI=.941と、いずれもモデル適合度の基準を満たしていた。
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