本研究は、がん看護相談の国内外における実践と課題、および実際の看護相談における患者・家族からの相談内容とその傾向および、QOLなどの量的尺度による効果の検証を明らかにすることを目的とした.国内ではがん専門病院、総合病院および内科クリニック各1施設を、海外はがん専門病院1施設と総合病院各1施設を、視察調査し、共通してがん看護専門看護師や認定看護師を含むチームで相談支援にあたっており、特に国外では患者教育専任看護師の存在が発達し、成果を挙げていた. 介入研究結果は、62組の肝がん患者と家族の看護相談から、43の相談内容と52の対応が導かれ、各8テーマにまとめられた.相談内容のテーマに、対応のテーマが、気持ちの整理を助け、状況への適応を促す関係が示された。これらの結果を基本的な相談と対応の指針とし、調査の過程で相談ニーズが高かった、がん罹患間もない時期と、治療が困難になる時期に絞った介入を、43組の患者・家族に実施し、SF-36とPOMS短縮版によりQOLと気分を3カ月ごとに測定し、効果を検証する調査を継続中である. 今後は、がん看護相談を継続して、成果のエビデンスを明示する.また、心理教育に用いてきた患者教育用の資料を、相談を担う看護師に啓発可能なツールとできるよう整理することが重要である.他職種や組織および地域と施設を含めたがん看護相談支援モデルを具体的に構築・提示できるよう、全ての調査結果を統合していくことが必要となる.
|