1.本年度の目的:昨年度に実施した看取りの場における看護職へのインタビュー結果をもとに、死後のケアに携わる看護職、退院後に遺体の管理および遺族へのケアを行う葬送業従事者への量的な調査の両面から、医療現場における死後のケアの課題と遺族へのグリーフケアにつながる死後のケアの在り方を検討することを目的とした。具体的には、全国の葬儀会社および納棺士として勤務する葬送業従事者を対象に、医療施設から退院後の遺体の状況、医療者との情報交換、感染対策の現状、医療施設内で行われる処置への意見、残された家族のケア参加について、独自に作成したアンケート調査を実施した。その後、全国の公的総合病院に勤務する看護師を対象に、死後のケアの技術の習得状況、実施状況および困難な内容、家族のケア参加、葬送業従事者との連携について、独自に作成したアンケートを実施した。また、家族への調査は医療施設で死後のケアに参加した家族へのインタビュー調査の内容を検討した。2.研究結果:葬送業者への調査では、その多くが化粧直しや処置の際に家族が参加することでグリーフケアにつながっていると捉えており、グリーフケアに影響する退院後の遺体の状況には医療施設での処置が誘因となることも明らかになった。葬送業従事者は医療者との情報交換を希望しているが、看護職の調査からはニーズが少なく、遺体の変化を考慮したケアは十分に行えていない傾向にあり、基礎教育課程から臨床現場での教育について検討する必要があると示唆された。看護職は家族がケアに参加することを肯定的に捉えており、グリーフケアの一端になると認識していたが、家族へ関わり方の困難さを抱えてもいた。次年度は、引き続き家族への調査をふまえて、死後のケアの教育について検討致していく予定である。
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