本年度はこれまでの調査をもとに、医療施設における看取りの教育方法の検討を行い、死後のケアに関する教材を作成し、その評価を行った。昨年度に実施できなかった遺族に対してインタビュー調査を行い、参加できなかった時の後悔が心残りになることや参加した場合の遺族の思いは、先行研究で指摘されているようにケアへの家族参加が満足になるだけでなく、生前と同様に患者に接することや家族への配慮の必要性などが明らかとなった。一方で、グリーフケアの視点からみると医療者の対応によっては、ケアの参加がグリーフケアとなり得ないなど、家族によって差も考慮が必要であることが示唆された。 また、DVD教材の作成では、葬祭業者の調査で得られた結果から、医療職の遺体の変化に関する知識、情報提供などの連携を内容に含めた。加えて、全国の看護職を対象にした調査から得られた施設間や診療科によるケア内容の差、トラブル発生時の対応困難、知識や技術の習得への要望などを内容に含め、前述の遺族の調査結果も考慮して、DVD教材の試案を作成した。作成過程では、ターミナル患者の看護の経験者、看取りの教育にかかわる看護教員と共に内容を検討し、修正を加えた。サンプルのDVDを用いて、ターミナルケアを受講している看護学生に視聴してもらい、看取りにおける看護者の役割、家族のケア、遺体の変化、身体の整容の手順の理解度等についてアンケート調査を行い、講義だけでなく映像の視聴後に演習で体験することで、理解が深まることが示唆された。
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