研究概要 |
[目的]慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease,以下COPD)の増悪により入院した患者は、増悪再発のリスクが高く、予防と早期発見・対処が適切に行えるようセルフマネジメントを促す看護介入が急務である。しかし、このような患者に対する援助は手探り状態であり、国内の報告もほとんどない。そこで海外のCOPD増悪に対するセルフマネジメントプログラムの文献レビューを行い、効果的なプログラムの構成内容と方略を検討した。[研究方法]PubMed、CINAHLを「Chronic Obstructive Pulmonary Disease」「Self Management」「Disease Management」「Patient Education」「Behavior Therapy」「Intervention」で検索した。さらにCOPD増悪に対するセルフマネジメントに焦点を当てたRCTを選択し、プログラムの構成要素、アウトカム、効果を認めたプログラムの特徴を分析した。[結果]13の研究論文を分析対象とした。(1)構成要素:プログラムの構成要素には「COPDマネジメントの情報提供とスキル指導」のほか「増悪に対するアクションプラン提供」「運動プログラム」「継続的なフォローアツプとコミュニケーションの保証」があった。(2)アウトカム:主なアウトカムはヘルスケアサービス利用、QOLであり、ほとんどの研究が介入12ヶ月後に測定していた。ヘルスケアサービス利用を評価した11研究のうち、介入による入院や救急外来受診などの有意な減少を認めたのは7件であった。また、QOLを評価した10研究のうち、介入による患者のQOL総スコアの有意な改善を認めたのは2件であった。(3)効果を認めたプログラムの特徴:介入による有意なヘルスケアサービス利用の減少やQOL改善を認めた研究の多くには、プログラム構成要素に「継続的なフォローアップとコミュニケーションの保証」が含まれていた。[考察]COPD患者の増悪に対するセルフマネジメントを促し、救急外来受診や入院の減少、QOLの維持・向上をはかるには、情報提供・スキル指導だけでなく、継続的なフォローアップとコミュニケーションが可能な体制をつくり、患者の行動を強化し、支持することが重要な要素となる。
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