本研究の目的は、肝がん患者と家族の治療および療養についての意思決定のプロセスの構造を明らかにし、闘病過程(発がん期、再発期、多発期)別に意思決定を支える看護支援プログラムを作成することである。 平成21~23年度にかけて、肝がん患者(17名)とその家族(18名)を対象に半構成的面接調査を実施した。面接は病気の進行や家族のライフイベントなどを考慮し、縦断的に1~3回実施し質的帰納的に分析を行った。 結果、意思決定のプロセスは【病状の受けとめと現状の認識】、【決定しなければならない事象の見定め】、【判断材料の探索と収集】、【具体的な選択肢の検討】、【意思決定に向かう姿勢をつくる】で構成されていた。 闘病過程別の特徴的な意思決定の内容として、発がん期は【治療施設の選択と決定】、【体調管理の方法】、【心身の回復に合わせた活動と休息のバランス】があった。再発期は、治療後の回復の程度によって【療養の場の選択と決定】し、治療と治療の間の【生活の切り替え】を行っていた。また、居住している距離や発達 段階によって家族員別に【伝える情報内容や時期】を決定していた。多発期は、患者とともに家族員の高齢化が進む中で、【新たな生活の再編】に取り組んでいた。治療については、全期にわたり【最終的な決定は医師に託す】【患者の決定を支援する】といった姿勢で決定していた。 各期の特徴と先行文献を参考にし、肝がん患者・家族の意思決定を支える看護支援プログラム案を検討した。
|