1.正期産母子に対するカンガルーケア(以下、KC)の分娩直後から子宮外生活に適応していく過程の移行期とされる24時間の新生児の心拍変動の変化を経時的にとらえ、その自律神経機能の変化について、KCを実施しない児をコントロールとして比較検討する【対象】平成21年度に引き続き、施設Aにおいて、正期産で経腟分娩を行う者のうち、当該施設のKC実施基準を満たしKCを実施した新生児をKC群、施設Bにおいて正期産で経腟分娩を行いKCを実施しない新生児をコントロール群として心拍変動の測定を実施した。なお、研究実施に際し、新生児の代諾者として母親に承諾を得た。【方法】分娩に立ち会い、出生直後の新生児に対して、非侵襲性測定機である心拍メモリー計アクティブトレーサーAC-301A(21年度購入)を用いて心拍変動測定を実施し、解析システムMemcalc(同様)により自律神経機能の解析を行った。新生児の行動指標について、心拍変動データ収集中にビデオ撮影を実施した。観察環境因子として温度、湿度、騒音、照度について測定を行った。 2.自律神経機能に影響を及ぼすと考えられる生理的指標、児の行動指標ならびに分娩状況との関連性を検討する。【方法】得られたデータ(KC群19例、コントロール群18例)について、表記の分析を実施し、子宮外生活への適応過程における心拍変動の周波数特性を生後24時間における変化を解析した。また、ビデオ撮影にて収集した新生児の行動指標のデータについて、熟知しているものでビデオ解析を進め、関連要因や傾向を分析した。その他、分娩状況及び観察環境因子について、KC群とコントロール群で比較検討を実施した。次年度においては、最終段階として、得られた結果について、まとめていく予定である。
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