乳児の泣き声が母親の母乳分泌に如何なる影響を及ぼすかを泣き声の成分解析と胸部血流を測定することで調べた。その結果、乳児の泣き声には非可聴領域(超音波)の成分がふんだんに含まれていた。そして、可聴領域と非可聴領域の成分が同時に母親に曝されることによって、胸部血流量は特異的に上昇した。一方で、未経産女性に対しては非可聴成分の有無によって、胸部血流の変動は見られなかった。したがって、ヒト母親では出産によって、泣き声に対する感受性が増強され、それによって、意識下における乳児から母親への情報伝達が引き起こされる可能性が示唆された。
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