当研究の全体構想としては、小児医療におけるプレパレーションのさらなる普及に向けたシステムを構築することである。近年、プレパレーションの主たる実践者である看護師において、プレパレーションが必要であるとの意識をもっているにも関わらず、十分実施することができない実態が報告されている。そこで我々は、先行研究においてプレパレーションに対する意識と実態の影響要因として抽出された6つの主成分についてさらに検討を加えた。 その結果、プレパレーションの促進要因として「患児の基本的人権の尊重」、阻害要因として「ネガティブな職場環境」「実施に対する自信のなさ」が関与することが明らかとなった。 今年度は、これらの促進要因、阻害要因について、看護師の具体的認識や経験を明らかにするため、小児病棟の看護師41名を対象に面接調査を実施した。今後は、データ解析を進め、主にプレパレーションの阻害となりうる条件や状況、それらへの対応や改善策を検討する予定である。その後、本研究より得られた知見を研究協力者である看護師にフィードバックし、小児医療の現場での対応・改善策を実際的に模索しくことが課題である。 そして、本研究成果によりプレパレーションが多くの患児に実施されると、入院における患児の苦痛は減り、積極的に治療に取り組めることが見込まれる。また、退院後の心理的混乱の解消、生涯にわたる健全な健康観、それを成し遂げる自信や行動力を育成できることも期待できる。さらに、小児看護の専門性の向上という意義がある研究と考える。
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