研究概要 |
当研究の全体構想としては、小児医療におけるプレパレーションのさらなる普及に向けたシステムを構築することである。プレパレーションの実施に際しては、患児の親の考えや精神状態も影響することが考えられたため、今年度は小児病棟や小児外来に入院・受診し、処置を受ける幼児の親263名を対象に、プレパレーションに対する意識と実態、およびそれらに対する関連要因について質問紙調査を実施した。その結果、子どもが受ける処置について、64.6%の者が説明する必要があると回答し、理由として「子どもの不安・恐怖、緊張を軽減する」「子どもの病気、入院・受診、治療の理解を促す」の順に多かった。また、実際に子どもに説明した者は48.5%であった。子どもの年齢別にみた場合、親の必要性に対する意識は先行研究で明らかとなった看護師の意識と比べ、1,2歳児では高く、3,4歳児では低かった。また、実態においても1~4歳児においては看護師より親の方が子どもに処置について説明を行っていた。以上より、看護師より親の方が子どもに対し、処置に対する説明の意識が高く、実際にも説明を実施していた。さらに、親の不安の高低と説明の意識と実態との関連では、統計的な有意差は確認されなかったが、いずれも不安が低い者の方が説明を必要と思っていたり、実際に説明を実施していた。今後、これらの結果を臨床にフィードバックし、患児の親が安心して子どもの処置に対するサポートが行えるよう、具体的な援助内容について検討することが課題である。そうすることによって、処置を受ける患児のプレパレーションを看護師と親が協同して行うことが可能となり、患児の心理的混乱の解消、生涯にわたる健全な健康観、それを成し遂げる自信や行動力を育成できることも期待できる。さらに、このことは小児看護の専門性の向上という意義があると考える。
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