医療的ケア必要児の保育園・幼稚園の利用に関するニーズを明らかにし、乳幼児期の医療的ケア必要児への支援のあり方を検討することを目的とし調査を行った。本研究の主旨を説明し同意を得られた医療的ケア必要児を養育する保護者を対象に半構造的面接調査を実施し、研究協力者の許可が得られた場合は面接内容を録音した。面接で得られたデータは逐語録を作成し質問項目ごとに内容を整理し分析を行った。本研究は、山口県立大学の生命倫理委員会の承認を得て実施した。結果として8名の保護者から同意を得られた。医療的ケア必要児の年齢は1歳11カ月から9歳で、必要な医療的ケアの種類としては、経管栄養7名、気管内吸引4名、口鼻腔吸引6名、定時的な内服6名(複数回答あり)であった。保育園等の利用状況は「(保育園を)利用していた」1名、「今後利用したい」1名、「(保育園を)利用したかったが出来なかった」3名、「あきらめていた」1名、「子どもの体調不良で(利用は)難しかった/考えられなかった」2名であった。利用の理由としては、「他児(健常児も含む)との触れ合いなど集団生活の経験をさせたい」が最も多く、次に親の「仕事復帰」であった。利用に関する保護者のニーズとしては、【障害児が施設を選べる】、【施設のバリアフリー化】、【人員・施設等の体制の整備/確立】、【看護師の配置】、【専門施設と保育園を併用】、【(園内に)障害児クラスを設置】、【小規模少人数制】、【子どもの担当を配置】の8つのカテゴリーが抽出された。一方で保育園等の施設ではなく【障害児の専門施設で預かってほしい】というカテゴリーも抽出された。現在、利用に関する保護者のニーズは分析途中であり、今後も分析をすすめていく。次年度はこの結果を踏まえ、医療的ケア必要児の支援者である保育園看護師ヘアンケートを行い、支援者側からみた支援の実態やニーズを明らかにしていく予定である。
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