【目的】保育園における医療的ケア必要児への支援の実態と保育園看護職が保育園での医療的ケアに関してどのような認識を持っているのかを明らかにし、保育現場での医療的ケア必要児への支援のあり方を検討することを目的とする。【方法】全国の保育園に勤務する看護職を対象に、郵送による自記式質問紙調査を実施した。分析は、単純集計及び医療的ケアに関する看護職の認識の比較にはMann-Whitney U検定を用いた。本研究は、山口県立大学の生命倫理委員会の承認を得て実施した。【結果/考察】有効回答数308であった。雇用形態は、常勤262名(85.1%)、非常勤46名(14.9%)であり、配置状況は、フリー配置164名(53.8%)、クラス配置137名(44.9%)であった。業務内容は、主に「保健業務に専念」と回答した看護職は67名(21.8%)で、「保健/保育の兼務」は223名(72.6%)であった。 「医療的ケアに対応している」保育園に所属していると回答した看護職は、41名(13.8%)であった。医療的ケアの内容は、坐薬27件、内服21件、導尿9件などであり、実施者は保育園看護職が36件であった(複数回答可)。保育園での医療的ケアに関して、現在の医療的ケア実施の有無に関わらず、看護職の認識を5件法(1:思わない~5:思う)で尋ねたところ、医療的ケアの対応の必要について「思う」「少し思う」と回答したのは68.5%で、看護職の約7割が対応の必要性を感じていた。一方、現在の保育園で医療的ケアの対応が可能かについて「思う」「少し思う」と回答したのは26%であった。看護職の認識を、フリー配置群とクラス配置群の2群で比較すると、フリー配置群の看護職の方が有意に「医療的ケアの対応が可能」と認識していた。また、保健業務群と兼務群の2群で比較すると、保健業務群の看護職の方が有意に「医療的ケアの対応が可能」と認識していた(いずれもp<0.05)。保育園での医療的ケアの対応を可能にするためには、フリー配置で保健業務に専念出来る看護職が必要であることが示唆された。
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