腰骨盤痛は妊婦が訴えるマイナートラブルの中でも頻度が高い。腰痛と骨盤痛は日常生活活動へ影響を及ぼすことから、腰痛だけでなく骨盤痛にも着目する必要がある。骨盤痛を判断するには自覚症状だけでなく、客観的評価の必要性が示唆され、骨盤痛の客親的評価には骨盤痛誘発テスト(Posterior Pelvic Pain Provocation Test P4テスト)、骨盤機能テスト(Active straight leg raise test ASLR)および恥骨結合部の圧迫(以下、恥骨部の圧迫とする)などがある。これらの評価は簡便で時間かからず、妊婦に副作用なく実施することができるため、妊婦への負担はほとんどない。しかし骨盤痛の客観的評価は国内ではほとんど実施されていないため、実施にあたり信頼性の検証が必要である。そこで、P4テスト、ASLR、および恥骨部の圧迫の3つの客観的評価についてパイロットスタディを実施し、信頼性を検討した。 妊娠35、36週の妊婦に対して骨盤痛の客観的評価であるP4テスト、ASLRおよび恥骨部の圧迫を実施し、約1週間後の妊婦健診来院時に同一の測定者が再テストを実施した。再テストに同意が得られ、追跡調査が可能であったのは15人であった。カッパ係数を計算の上、測定者内の再現性を検討した。3つのテストのカッパ係数はP4テスト右0.615、左0.773、ASLR右0.659、左0.526、恥骨部の圧迫が0.545であった(全てp<0.05)。したがって、ASLR左側と恥骨部の圧迫以外は中等度の一致率であった。 骨盤痛客観的評価における測定者内信頼性は中等度を示しているため、今後は測定者間信頼性も検討し、信頼性をさらに検証する必要がある。
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