研究概要 |
1.目的:本研究は,生活習慣病予防の主たる対象である地域住民に焦点を当て,身体活動の実践が主観的な睡眠の質と関連するという仮説のもと,運動習慣改善を意図した介入プロジェクト受講による主観的睡眠評価および健康関連QOLの縦断的変化を検討することである。平成22年度はこの目的に従って,地域住民(一般成人)を対象に,対象者の睡眠習慣を時間と質の観点からとらえ、睡眠障害と生活習慣の関連を把握することとし,以下の方法により調査を行った。なお,本研究は岩木健康増進プロジェクト(弘前大学医学部社会医学講座)と連携のもと実施した。2.方法(1)対象者:青森県弘前市岩木地区に在住する住民で,岩木健康増進プロジェクト成人健診に参加した一般成人約1000名である。(2)調査期間は平成22年5.月下旬の10日間とした。(3)測定項目:(1)アンケートにより生活習慣の聞き取りを行い、ピッツバーグ質問票(PSQI)により睡眠障害を判定した。(2)身体組成値,(3)血液生化学検査,(4)各種身体機能検査である。本調査では,対象者を男女別に分類し,若年群,中年群,高齢群に区分した上で睡眠障害と生活習慣の関連について検討した。(4)結果:男女ともすべての年代において,睡眠障害と抑うつ度(CES-D得点)との間に正の相関を認め,睡眠が障害されているほど、抑うつ傾向が強かった。また、男性の中年群では睡眠障害とBMIとの間に正の相関を認めた。以上より睡眠障害の予防と良好な睡眠習慣獲得のためには直接的かつ包括的なメンタルヘルス対策が重要であり,これよりQOLの改善か可能であることが示された。3.介入活動:平成21年度(第1回目)は平成22年1月~6月の期間で週1回の健康教室および月1回の栄養教室を実施しており(参加者約60名),平成22年度(第2回目)は,平成22年12月より前年度の内容に準じて実施している。2.の結果および上記健診結果をもとに,特に運動・栄養に関する介入活動を実施中である。次年度の健診において評価予定である。
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