平成21年度は、核となる知見を収集し高齢者施設において文化的感受性の向上を目指すための構成概念を抽出することを目的とし、文献を用いて日本の医療保健現場における外国人受け入れの現状や問題、また、経済連携協定による外国人看護職・介護福祉士候補生の受け入れの現状、教育内容を調査した。また、諸外国における外国人看護職・介護職への教育提供体制、それらに伴う問題について文献検討を行うとともに、異文化適応や高齢者長期ケア施設の看護管理、異文化における就労に関する学識者へのヒアリングを行った。さらに、看護協会のガイドラインのもと外国人看護職の適応教育を全国的に実施している英国ロンドンとその近郊において、外国人看護師の適応プログラムを提供している大学4大学を訪ねそのプログラム内容、使用教材、プログラムの視察による情報収集、そしてプログラム責任者へのヒアリングによる知見の収集を行った。以上により、外国人受け入れ側と外国人の文化的感受性、文化的コンピテンシー向上を目指すガイドラインの構成概念として、制度の理解、文化の多様性の理解、対人態度・ふるまいの相違の理解、コミュニケーション方法、語学力特に読み書き能力、が挙げられた。これらの構成概念を軸にし、次年度のガイドライン案作成と修練、実用可能性の検討、ガイドラインの完成を目指す。
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