該当する世代の退職直後(1年以内)の男性を対象に、地域活動への参加に対する関心と行動のきっかけとなる動機と健康状態について追跡調査から経年的変化を明らかにすることを目的とし、退職後に地域の中で新たに築き出した交流の状況の様子について退職前の交流の状況とも比較しながら、地域活動に積極的に参加するという変化を遂げた人と、閉じこもり傾向にある人との違いについて質的に明らかにすることを目指した。具体的には、職種やこれまでの地域参加経験の異なる対象10名を抽出し、定期的に個別面接の方法にて、地域活動への接点や関心、健康行動の有無について質的に調査・分析を行った。平成22年3月末にて定年退職を迎えた対象者を中心に、4ヶ月ごとに計3回の個別面接を実施した。対象者の抽出およびインタビューは平成22年度より開始しており、今年度は同対象者に対して2年目として継続して面接を実施。1年目と2年目の変化の比較も行った。 調査内容としては(1)外出の頻度および日常生活圏域(自宅からの半径)の特定、(2)地域参加への関心度や行動、(3)保健行動への関心度や行動について、インタビューを行い退職直後と2年後での個人の意識や行動の変化についての変化も加えながら、外出や交流の頻度によって閉じこもり群と非閉じこもり群のグループ毎に概念形成をおこなった。その結果、退職後はなんらかの形で就労を続ける傾向が強く、単に経済的理由だけでなく人との交流や心身の健康の維持、規則的暮らしの継続などの意味を見出していた。加えて地域参加についても全く敬遠するものではないが希望して出向く傾向にはなく、これら男性には就労と地域参加を結びつける仕組みの必要性が示唆された。 結果の公表については、第2回日韓地域看護学会共同学術集会平成23年7月にて発表を行った。今後も国内外の学会にてその後の成果を発表していく予定である。
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