本研究の目的は、運動介入プログラムへの継続意欲に関連する要因を練りこんだ、地域住民・地域医療・地域保健・地域研究機関の連携に基づく地域ケアシステムの構築とその効果を心理・生物・行動学的に検証し、モデル化することである。平成22年度に二期続き、平成23年度においても、対象地域の高齢者3グループ約120名に対し、介護予防のための高齢者用運動プログラムを、地域保健師および地域の自主運動グループ(ボランティア)と共に実施し、半年に1度評価した。対象となった高齢者は、プログラムに応じた運動を継続し、参加者の半数以上が自宅における自主運動も継続できた。また、対象者の殆どが後期高齢者であったが、運動機能・精神機能が維持された。一方で、同時に自主運動グループが継続的に地域高齢者の自主運動をサポートできるよう、地域行政が相談窓口になること、定期的に活動の評価を行うこと、定期的に自主運動グループメンバーへの運動指導を行うことをシステム化した。 平成21年度から本年度にかけ実施した本研究の目的である、「高齢者を対象とした地域ケアシステムの構築」の評価としては、地域に在住する健常高齢者の健康維持・増進と介護予防のために、対象者に応じた効果的な介入プログラム(下肢筋力強化運動)を使用すること。対象者と信頼関係が構築されている同地区のボランティア(自主運動などを行っているグループ)が高齢者グループの運動継続と自主活動をサポートすること。また、地域ボランティアグループの相談窓口を地域行政(保健師)に置くこと。さらに運動指導者となる地域ボランティアの育成を大学と行政が担うこと。そして、それら地域ケアシステムの運用の評価を定期的に行う仕組みを作ることが、高齢者の定期的・継続的な運動実施による運動機能の維持・増進およびコミュニティの育成につながることが明らかとなった。
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