目的:在日ブラジル人女性は、マタニティクラスに参加せず、孤立した状況で過ごしている。そこで、本稿研究では継続的に妊産婦交流会を実施することにより、参加者同士の交流を促し、その有効性を分析することを目的とした。 方法:A県在住のブラジル人妊産婦を対象に、2010.4月~8月の期間に交流会を13回実施した。参加者の希望に沿って、ポルトガル語版テキストを用いて説明を行うなどした。分析は質的帰納的法を用いた。倫理的配慮として、滋賀医科大学倫理委員会の承認を得た。 結果:妊婦り実参加人数は8名(初産婦3名・経産婦5名)、産婦1名(初産1名)、夫8名、子ども8名であった。述べ参加者数は妊産婦14名、夫13名、子ども11名であった。フィールドノートから、対象者の交流会での様子や発言について分析した結果、参加前は、【夫・子どもと一緒に健診・交流会に来る】【交流会のイメージがなく気が進まない】【なんとかなるさと思っている】、参加時は【子どもが生まれる前に勉強するのは良いと思う】【妊娠中のことや、赤ちゃんの世話、制度について知りたい】、参加後は、【妊婦健診後は家族で出かけるので早く帰りたい】【産後困った時に相談したいと思う】とカテゴリー化された。 考察:参加者は、参加前は気が進まない様子であったが、参加時は必要な情報を得て、出産に備えることは役に立つと認識していた。また、参加後は産後困った時にも相談したいという希望が見られ、日本での出産への準備性は高まった。しかし、交流会へ再来した参加者は2組のみであり、ブラジル人妊婦同士の交流を促し、セルフヘルプグループとして機能するには至らなかった。この理由では、外国人労働者として多忙な日常を過ごしているという境遇や、休日は家族で過ごすことを重視する価値観などがあることが考えられた。これらの結果踏まえて、今後の有用なケアのあり方を検討していく必要がある。
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