本研究の目的は沖縄県内で活動する母子保健推進員と保健師の協働の構造を明かにすることである。平成21年度は調査の事前準備として関連する分野、内容の文献・資料を収集し、文献検討および資料収集を行い、インタビューの項目を抽出した。また、市町村の母子保健推進員の担当部局や沖縄県母子保健推進員連絡協議会会長等への研究協力依頼及び事前調整を行った。 調査は沖縄県内の離島を含め市部で活動する母子保健推進員19名を対象に、日頃の活動状況や経験をインタビューした。調査結果の一部、対象者6名について、地域ケアシステムの中で母子保健推進員が果たしている住民と行政との「パイプ役」の構造について質的に検討を行った。その結果、母子保健推進員は住民と行政のパイプ役として活動する中で、共感や共有を通しやりがいが生まれるが、迷うことも経験する。保健師が母子保健推進員と協働し地域のケアシステムを構築するには、推進員の迷いを受け止め、活動の成果を適時フィードバックし、支える存在となる事が示唆された。この結果は日本地域看護学会第13回学術集会で発表予定である。また、前年度に実施したアンケート調査にて得られた研究結果「沖縄県内で活動する母子保健推進員の活動状況・活動意識」を第68回日本公衆衛生学会にて発表し、母子保健推進員活動や保健師との協働に関心のある研究者と情報交換を行った。地域の母子保健に関する研究はこれまでも多様な面から検討されているが、母子保健推進員への保健師の活動支援について検討した研究はほとんどない。今後は母子保健推進員の育成や活動支援に関わった保健師へのインタビューを行い、活動支援に要する技術や概念の整理を行う予定である。
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