平成22年度は母子保健推進員を対象に行ったインタビューの内容を質的に検討した。母子保健推進員は住民と行政とのパイプ役と言われている点に着目し、地域ケアシステムの中で母子保健推進員が果たしている「パイプ役」の構造を質的に内容分析し検討した。その結果から母子保健推進員は住民や行政と協働する中で、共感や共有を通しやりがいが生まれるが、迷うことも経験する。保健師が母子保健推進員と協働し地域ケアシステムを構築するには推進員の迷いを受け止め、活動の成果を適時フィードバックし、支える存在になる事が必要であることがわかった。この結果は日本地域看護学会第13回学術集会で発表した。今後はインタビューの内容を母子保健推進員の役割意識やその形成過程についての側面から質的検討を行う予定である。 また、連携研究者とともに、沖縄県内において保健師と母子保健推進員が協働することによって支援した個別事例を質的に分析し、地区担当保健師と業務担当保健師の連携の在り方を検討した。この結果も日本地域看護学会第13回学術集会で発表した。 さらに保健師が母子保健推進員の活動支援に要する技術や概念の整理を行う目的で、母子保健推進員の育成や活動支援に関わった保健師へのインタビューを計画しており、琉球大学研究倫理審査委員会で研究計画の許可を得たところである。保健師が住民組織活動を支援する実践活動内容を明確化し、コンピテンシーの評価が可能になり、保健師の基礎教育や継続教育に活用することができる。
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