訪問看護領域で働く看護職特有の主観的責任と勤務継続意志、ストレスとの関連を明らかにし、職場環境の改善、離職低減、人材育成の方途を探究することを最終目的に、本年度は、「訪問看護領域で働く看護職特有の主観的責任の概念の抽出」、「抽出された概念に基づく理論的枠組みの構築」を目標とし、現役の訪問看護師(以下、看護師)16名(女性15名、男性1名)に面接調査を行った。対象者の平均年齢±標準偏差(以下、SD)は、41.18土8.22歳、看護職平均経験年数±SDは、18.13±9.56年、うち訪問看護職経験年数±SDは、6.00±4.34年、現事業所は、訪問看護ステーション15名、病院・診療所1名、勤務形態は、常勤14名、非常勤2名、職位は、スタッフ11名、管理職3名、主任1名であった。面接において「訪問看護師として感じている責任」を問うたとき、言葉では表現しがたいと沈黙する場面、一方では、ひとつのケア実践を示し、そこでの訪問看護利用者(以下、利用者)-看護師間の呼応を滔々と語る場面が看取された。このことは、そもそも看護師の責任に対する認識レベルの違いが影響しているのではないかと推察する。また、責任というものが、訪問看護師と名乗れば賦課される義務のイメージではなく、利用者-看護師間の信頼関係が基盤としてあり、利用者の求めに看護師が反応する、つまり、利用者からの求めに対し、看護師が引き受ける範囲を決定し対応しようとする状況を示しているものと考える。 主観的責任の概念については現在分析中であるが、引き続き分析をすすめ概念モデルを構築する。次年度は、そのモデルに基づき調査票を作成し、訪問看護ステーションの看護職を対象とした調査を計画している。
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