平成21年度は当初の目的通り、平成16年に行った生体肝移植ドナーに関する調査の自由回答をテキストマイニングソフトTrue Tellerを用いて分析を行った。 これまでは回答数が500を超える問いも多くみられたため、特徴的な回答の概要を報告するレベルにとどまっていたが、今回の分析では回答の中の単語の出現頻度、フレーズの頻度及びその共起性を主成分分析・コレスポンデンス分析の結果を用い図示できるため、研究者による分類作業にかかる時間の省力化と研究者の主観にとらわれない分析が可能となった。例えば将来の健康に対する不安には、「漠然」「将来」「不安」「現在」「ない」といった用語が、高頻度かつ同時に用いられており、現在は無症候でも漠然と将来への不安を感じていたが、「体力」や「疲労感」、「腸」「閉塞」などは、それらとは別のグループを構成していると考えられたため、具体的な不安を感じている者がいることも分かった。その一方で「閉塞」と「閉そく」は別の語として認識されるため、非医療専門職を対象とした調査データを用いる場合、同義語としての登録など辞書機能の管理が分析結果に影響を及ぼし重要であることも明らかになった。 今後は、今回得られた分析結果の妥当性を第三者をふまえて改めて検討するとともに、他のソフトウェアによる解析方法の検討を加え、保健医療領域でのテキストマイニングの活用に資する結果を残したいと考えている。
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