認知症高齢者グループホーム(以下、GH)における利用者の健康管理は重要な課題であるか、この課題に対応するために医療連携体制加算を算定し、看講師を配置しているGHは2008年現在58%に止まっている。本研究はGHにおいて提供される看護について、GHへの看護提供の効果と課題、看護師の役割などを明らかにすることを目的として行う。また、GHへの訪問看護提供に焦点をあて、GHと訪問看護ステーションとの契約下での訪問看護の機能や特徴を明らかにして、施設や利用者の特色に合わせた効果的な訪問看護提供を促進する方策を検討する。 平成21年度は看講師を雇用しているGHの管理者及び看護師を対象として、GHにおける看護師の活動、看講師雇用(就職)の契機・理由、効果や課題などについて半構成的面接調査を行った。看護師の活動内容は「利用者の健康状態の把握」「浣腸・皮膚処置などの医療処置」「スタッフからの医療・看護に関する相談への対応」などがあった。看護職雇用の経緯・理由としては、「看護職がGHを設立」「医療依存度の高い利用者への対応」「訪問看護では不足」などがあった。看護職雇用の効果として「緊急時の対応についての心感」「利用者の状態変化への療的な評価・予測」「利用者・GHに合ったケア方法の指示」などがあり、課題としては「看護職の勤務の短さ」「看取りについての報酬が無いこと」「看護職雇用のコスト」などがあった。 GHにおける看講師の活動により、自覚症状の訴えが困難な認知症高齢者の健康状態悪化の予防や早期発見・対処がより充実していることが推察された。また、看護師が医療面の判断や指示を行うことにより、GHの介護職が安心感を得たり、健康問題に関する観察や対処の方法を学ぶ機会にもつながっていると考えられた。一方、GHにおける効果的な看護提供に向けては、加算制度の見直しなどの検討が求められる。
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