本研究は認知症高齢者グループホーム(GH)において提供される看護について、GHへの看護提供の効果と課題、看護師の役割などを明らかにすることを目的として行う。 平成22年度は(1)A県内のGH全数への質問紙調査、(2)訪問看護利用GHとその契約先の訪問看護ステーション(ST)への面接調査を行った。 (1)全県調査はGH利用者の医療・看護ニーズ、医療連携体制加算の取得や訪問看護利用の状況把握を目的として行なった。その結果、GHの89.0%は定期的な通院または往診が必要な利用者を抱え、98.6%は職員による服薬管理が必要であった。また、過去3か月間に利用者が救急受診したGHは26.0%でありターミナルケアを実施・受入れると回答したGHは47.9%であった。医療連携体制加算取得施設は64.4%でありこの内、STと契約しているGHは21.3%だった。 (2)GHと契約先STへの調査は、GHで行われている訪問看護活動の実態やGHとSTの連携の利点、課題等を明らかにすることを目的に行った。訪問看護では「利用者の健康状態の把握」「スタッフからの医療・生活面の相談への対応」「服薬指導」などが行われていた。GHとSTの連携の効果としては、「介護スタッフの安心感」「緊急時の訪問・電話相談が受けられること」などがあげられた。一方、「STの採算」「介護スタッフの教育」「情報共有」などの課題が示された。 GH全県調査の結果から、GH利用者の医療・看護のニーズは高いと考えられるが、医療連携体制加算取得施設の内、訪問看護利用は2割程度と低調であることが示された。面接調査の結果からは訪問看護利用によって介護スタッフが安心感を得たり、利用者の健康管理が充実するといった効果が示されGH利用者の高齢化・重度化が進む中で看護職配置の重要性が示唆された。一方、GHとSTの連携には課題があり、さらに検討する必要があると考える。
|