研究概要 |
23年度は,22年度末にA県内の地域包括支援センター(以下,包括センター)専門職50人を対象に行った調査を分析するところから開始した。有効回答数36人(72.0%)で,日頃の業務で特にストレスを感じる内容(複数回答)は「業務量が多いこと」26人(72.2%)が最も多く,「職場の人間関係」22人(61.1%),「事務関係の仕事」19人(52.8%),「関係機関の職員と連携を図ること」12人(33.3%),「住民(利用者)との人間関係」11人(30.6%)と続いた。業務量のみならず職場内や関係機関との人間関係にストレスを感じている者が多かった。各職種の専門性を生かし業務効率を図ることは大切であるが,困ったときに互いに相談し合える環境整備が重要で,日頃のコミュニケーション不足を解消していく必要性が示唆された。 21,22年度の調査結果より,包括センターで取り組むべき業務の効率化を図る必要性とセンター内専門職間の連携強化の必要性が示唆された。そこで23年度は,組織内連携の構築を視野に入れた現任教育研修を試行的に実施し,その評価を行うこととした。センター専門職の共通課題として「地域課題の明確化」をテーマに,B保健所協力のもと全3回の研修を企画した。組織内連携を図るためにブレーンストーミングを行い,ツールとして「地域関連図」を用いた。地域関連図は,地域診断を進める際に地域課題の構成要素とその関連性を整理し課題の優先順位を検討する上で一定の効果が得られている。これを,包括センターの活動にも応用可能ではないかと判断し,試行的に本研修に用いた。参加者25人に対し研修後の自記式アンケートを行い,研究者の観察記録と照らし合わせ研修の効果と今後の課題を検討した。23人(92.0%)から回収でき,自由記述からは,地域関連図は自分の考えをほかの人と共有する際に便利だという意見が多く,これをコミュニケーションツールの一つとして用いることで組織内連携の強化を図る効果が示唆された。(800字)
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