労働安全衛生法に定める定期健康診断における法定外の検査項目として、自己記入式抑うつ尺度質問票および唾液アミラーゼを用いた調査を実施し、要支援者に対する事後措置、および、調査結果に関する統計処理を行った。うつ病の検査導入に関する制度化に関しては、政府においても昨年より検討が進められてきたが、事業主の責任として進められる以上、労働者の私的なプライバシー保護に関する課題が残り、また制度化後の実際的な効果にも不確定要素が多く、なお整備に向けた隔たりは大きい。今回の研究における試行を通して、自殺者の発生や精神疾患の発症を未然に防ぐための一定の効果を得ているものと思われるが、上述する内容の課題検討を含め、今後も中長期的に継続した実施と評価が必要であるため、来年度以降も継続した調査の実施を予定している。 また、うつ病スクリーニングにて用いた従来型の自己記入式質問紙による調査結果と、唾液アミラーゼ活性値との間に相関性が示された。うつ病判定のための生物学的指標の確立を目指していく。
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