目的:在宅で終末期がん患者を看取る家族を対象に、グリーフケアプログラムを実施しその介入の効果を評価することとした。 方法:家族を通常ケア群と介入群の二群に無作為に割り付けて、通常ケア群には通常訪問看護師が実施しているケアを提供し、介入群には訪問看護師の通常ケアに加えてグリーフケアプログラムを実施することとした。 結果:対象者は、脱落者1名を除いた介入群11名、通常ケア群11名である。介入前の両群における特性や評価指標に有意な差は見られなかった。 ケアプログラムの効果について、回帰分析の結果、GHQ28の総合得点について、第2回介入前と最終評価時の値の変化では、介入群が7.9±6.3から5.00±3.3と低下し、通常ケア群では8.5±6.2から8.50±4.8と値に変化はみられず、介入群の方が通常ケア群に比べて有意に低くなっていた(p=0.020)。また、GHQ28の下位尺度の身体的症状では、介入群が2.3±1.4から1.5±1.3と低下しているが、通常ケア群では2.6±2.4から3.2±2.0と値が高くなっており、介入群の方が通常ケア群に比べて有意に低くなっていた(p=0.021)。また、体調不良の有無において、介入群の方が通常ケア群に比べて改善している割合が有意に高かった(p=0.000)。 考察:介入により精神的健康の改善と身体的症状の軽減が認められ、身体的・精神的健康の改善に結びついたことが示された。在宅で終末期がん患者を看取る家族は身体的・精神的負担を抱えているが、ケアプログラムにより家族の身体的・精神的健康が改善することが明らかとなり、家族の複雑(病的)な悲嘆反応を回避する効果があることが示唆された。
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