4年間の研究期間の最終年度である本年度は、第4回目の調査を実施し、①単年度の調査結果から新規受診者のニーズを明らかにすること、②4年間のデータ分析から、新規受診者と継続受診者を比較し、特定健診・特定保健指導の効果を検討することが具体的目標であった。 ①単年度の調査結果から、新規受診者のニーズを明らかにする:平成21年度から調査地としている一自治体の協力を得て、平成24年度の特定健康診査受診者のうち、40~67歳である全701人を調査対象とし、郵送調査を実施した。そのうち調査用紙を返信し、本報告書作成時点で特定健康診査結果と突合できた253人の分析結果を報告する。新規受診者74人(29.2%)、継続受診者179人(70.8%)だった。新規受診者(57.0±7.9歳)は継続受診者(59.8±7.3歳)と比較して、年齢が若く、健康度自己評価が悪かった。新規受診者は、毎年健診を受けると心に決めている割合が低く、健診を受けると将来的には町のお金がかからなくて済むという考えを持っている割合が低かった。一方、家事や仕事などで健診を受ける時間がない、健診受診のタイミングを逃す、自分のことが後回しになり健診を受けられない、自覚症状がないので健診を受けないと回答する割合が有意に高かった。 ②4年間のデータ分析から、特定健診・特定保健指導の効果の検討:新規受診者は継続受診者に比較して、健診結果(血圧、中性脂肪、AST、ALT)が不良であった。そのため、新規受診者は、これらの健診結果が改善できるよう、生活習慣病予防のニーズが高いことが示唆された。行動変容理論から質問項目を作成し、質問紙調査を実施したところ、知識・態度・行動に新規受診者と継続受診者とで違いがあることが示唆され、今後は、知識・態度・行動がより継続受診に繋がるように変容するような支援を実施し、その効果を評価する研究が必要である。
|