研究概要 |
認知症高齢者を対象としてユニットケアを実施している施設における安全なケア提供についての実態を知り、安全にユニットケアを実施するうえでの具体策を検討するために、平成21年度に実施したインタヴュー調査(認知症高齢者にユニットケアを実施している介護老人保健施設のスタッフおよび管理者対象)の結果を質的帰納的研究方法により分析した。その結果スタッフは、安全にケアを提供するうえで【介護職者間のケアの統一の困難】【人員不足による安全保障の困難】【ユニット構造による安全保障の困難】【入居者の重症化への対応の困難】【家族との連携の困難】を感じていた。そして安全なケアを提供するために【転倒予防のための見守り対応】【入居者の希望や状況に合わせた対応】【安全保障のための他職種との情報交換】【転倒時の受傷軽減対策】の工夫を行っていた。一方管理者は、安全にケアを提供するうえでスタッフと同様の困難を感じていたが、安全なケアを提供するためにスタッフと同様の【転倒予防のための見守り対応】【入居者の希望や状況に合わせた対応】のほか、【スタッフの質向上のための教育機会の提供】【スタッフ間の連携強化】【地域・家族との連携強化】【転倒の誘因の除去】【ユニットケアに適した人員配置】【事故防止のための管理の徹底】の工夫を行っていた。 平成22年度は平成21年度調査で安全なケアを提供するための工夫として得られた結果をもとにした113項目と基本属性からなる質問紙を作成した。平成22年11月、無作為に抽出した全国の高齢者施設(介護老人保健施設500施設、介護老人福祉施設500施設、計1,000施設)の管理者・看護師・介護士に対し、質問紙調査(郵送法)を実施した。その結果、回収率は18.2%(介護老人保健施設16.9%、介護老人福祉施設19.4%)であった。PASW statistics 18を用いて因子分析を行ったところ、介護老人保健施設のユニットケア実施施設で30因子が得られ、現在もユニットケア非実施施設や介護老人福祉施設で抽出された因子との比較検討により、詳細な分析をすすめている。
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