医療施設で働く看護師が、患者の自殺でどのような影響を受け、どのように体験を受け止めているか、またそのサポートの実態については明らかされていないことから、本調査では、医療機関において自殺が起きた場合の看護師へのポストベンションプログラム(試案)を開発することを目的に研究を実施している。22年度は看護師へのインタビュー質間項目の精選を行った。 患者が自殺をした場合、影響を受ける看護師の関係性は、受け持ち看護師、当日の担当看護師、直前に対応した看護師等に分類されることが考えられた。また看護師が複数の患者の自殺体験を持つ場合があり、過去の自殺の体験やその時のサポートが想起されることが予想された。看護師の影響は、サポート体験にも左右されることが考えられ、体験とサポートがどのように影響しているのかについて、質問項目を検討することとした。また患者の自殺のみならず、自殺未遂に看護師が影響されており、インタビューの際には、自殺未遂の影響を考慮していく必要がある。 一方で患者の自殺を看護師として働くことへの動機付けとしている者もおり、患者の自殺を否定的な面からではなく、肯定的な面からも捉えていることについても質問項目に組み込むことを検討していく。 インタビューにあたっては、倫理的配慮を十分に考慮する。対象者の選定にあたっても関連施設との調整の際、対象者が調査に拒否する権利を十分に説明し、実施していくこととする。
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