研究課題
総務省のu-Japan政策の立案など近年ユビキタスネットワーク社会の実現を目指した様々な研究開発が進められており、多様なアプリケーションが期待されている。ここ数年で一般に普及しつつあるiPhoneなどのスマートフォンではGPSによる位置取得機能および無線LANやBluetoothによる通信機能を備えており、これらのデバイスを保持した多数の歩行者が街中を往来しながら互いに情報を交換することが実現可能となる環境が整いつつある。本研究では、そのような環境におけるサービスの一つとして、移動する人や車が保持する端末が協調して端末の接続関係などの情報を集約することにより、移動端末の位置を把握し、それに基づく密度分布状況の推定を実現することを目指して研究を実施した。屋内環境ではGPSが利用できないため、移動端末の位置情報が得られず位置情報の集約による密度分布の把握が行えなくなる。このため、端末の密度分布を得るためにはGPSに頼らずに移動端末の位置を推定する方式が必要となる。そこで申請者がこれまでに取り組んできた屋内での位置推定法を応用し、指向性アンテナを用いることで無線LANを搭載した移動端末の位置を高精度に推定する手法を考案した。また、指向性アンテナが利用できない場合でも移動端末間でのアドホック通信に基づき協調して端末位置を推定し、端末の密度分布を推定する方式を考案した。指向性アンテナを用いた移動端末の位置推定法は、その有用性が認められパーベイシブ(ユビキタス)コンピューティングの分野で最も権威のある国際会議の1つであるPerCom2010に採択された。また、移動端末がアドホック通信の接続情報に基づき協調して位置を推定する方式の研究成果をまとめた論文が情報処理学会の推薦論文として採録されている。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
情報処理学会論文誌
巻: Vol.52, No.1 ページ: 209-219
巻: Vol.51, No.9 ページ: 1916-1929